自然界の象徴のひとつともいえる植物の緑には、環境を浄化し癒しに満ちた快適空間を創る、ヒーリング効果があることが知られています。
植物の恩恵は、ヒマラヤハウス® の提唱する、環境の活性化をめざす『 空間ヒーリング® 』に通じ、 ‘ 緑化 ’ は、ヒマラヤハウス の追究する、「 美しく豊かな環境づくり 」の重要な要素となる、ヴェーダ環境建築学 ‘ ヴァーストゥ ’ の手法のひとつでもあり、環境全体の益を生む公益となり、 ‘ 公共性 ’ につながります。
さらに、植物の緑は、健全な環境を育み、 ‘ 持続可能性 ’ を視野に入れた地球環境においても、有益に働きます。
これまで、人間は文明の発展を優先して利便性を追求し、共生の発想とはほど遠く、植物を自己の利益に利用する物として扱ってきました。
しかし、最近では、生命体としての植物の大いなる恩恵は、環境全体の益となり、人類にとっても必要不可欠で、将来にわたり大切な環境資源となることが認識され始め、植物を植え育てる緑化の活動が広がっています。
私たちの健康や生活と密接に関わる植物の効果、緑化の役割とその取り組みについてまとめました。
植物の緑は、生命の源である太陽エネルギーを貯え、自然界の資源を循環させ、持続可能な環境を育むのに大きな役割を果たしています。
樹木や草花などの植物の緑は、環境を清浄にして快適に保ち、私たちに安らぎや心地よさを与える、環境のヒーリング効果を高めます。
また、野菜や果物などの植物を食すことで、私たちは太陽の光エネルギーを含む自然界の生命力を心身に取り入れることができます。
私たちは自ずとそのような植物の恩恵を理解し、好んで植物の緑を生活に取り入れたり、積極的に緑に触れたり、おいしいと味わったりしています。
従来、緑の恩恵については、その効果を数値で表し、主張するようなことはあまり行なわれてきませんでした。
近年、植物の緑は、環境保全を担っており、広く癒し効果や健康増進効果がある上、地球環境問題やヒートアイランド現象などの対策のひとつとしてクローズアップされ、その波及効果の実証とより有効な緑の創出が求められています。
人の手で植物を植えて育成する、 ‘ 緑化 ’ は失われた自然を回復させるはじまりで、環境の改善を図り、自然の快適さをもたらすことを目的としており、その根源は自然と人間の共生に根ざしています。
緑化という言葉が意味するのは、もともと植物が生育していなかった場所、あるいはしばらく植物が生育していない場所に、工夫を凝らして植物が生育できるようにすることで、砂丘の緑化、または建物の屋上緑化や壁面緑化などもそれにあたります。
また、人が開発などにより自然を破壊してできた裸地を植物で覆うことを指し、20世紀後半から行なわれるようになりました。
地球規模の環境保全と温暖化防止対策として、砂漠化を防ぐため、または森の再生などを目的とした緑化、また、私たちの生活の身近なところでは、都市の緑化、住宅や学校の緑化など、植物の効果を活用した様々な取り組みが広がっています。
森林浴により、心身がリフレッシュされることはよく知られています。
植物は、空気を浄化し酸素を放出、フィトンチッドを発散し、人をリラックスさせるような精神的な効果にも波及するほか、自然界の資源を循環させ、健全な環境を保全するなど、有形無形の恩恵がたくさんあります。
植物は、太陽の光エネルギーを活用して、光合成により炭酸ガスと水から炭水化物をつくり、酸素を放出します。
そのとき、炭酸ガスと同時に汚染物質を取り込んで地中に送り、それが微生物の餌となり分解されることで、大気を浄化する効果があります。
さらに、植物は葉から水分を蒸散し、空気に潤いを与えています。
その水分が、夏は気化によって熱を奪い気温上昇を抑制し、冬は熱を放出して気温の低下を防ぎます。
また、その水分は、蒸留水に近く清浄な気に溢れていて、私たちに心地よさを運びます。
植物からは、光合成により二次的に、自らを守るために殺菌効果のあるフィトンチッドなどの成分がつくられ、放出されています。
化学物質のフィトンチッドは、森林浴で心身をリフレッシュさせ、爽快感をもたらす要素のひとつです。
フィトンチッドには、抗菌、防虫、消臭など様々な働きがあり、人間の体に触れると、副交感神経を刺激して精神を安定させ解放感を与えることや、肝臓の働きを活発にする、生理機能の促進などの効果があることがわかっています。
植物の緑は、眺めたり、香りをかいだり、葉の揺れる音を聞いたり、触れたり、感覚を味わうといったように五感で楽しめて、様々な効果を体感することができます。
緑の光の波長は、網膜に負担をかけない、目を休めるのに適した色とされ、植物を眺めると脳がリラックスし、視覚疲労を解消する効果が知られています。
フィトンチッドなどを含む植物の香りは、心身を癒すことから、アロマテラピーといって植物の芳香成分を用いて、心身の健康や美容を増進する技術も流行しています。
木漏れ日や葉がサワサワと揺れる音といった、自然界の ‘ 1/f ゆらぎ ’ のリズムが、生体のリズムを整え健全な心身を保つのに役立つことも、わかってきました。
植物や花に触れると、心が癒され感性が刺激されるという心理的効果もあります。
純粋な知識 ‘ ※ ヴェーダ ’ では、内なる静寂(純粋意識)を体験するひとつの方法として、自然の中で過ごし自然と直接交流する機会をもつことを奨めています。
植物は大いなる自然との調和に根ざしており、私たちは自然界にみなぎる調和を感じ、自らの生命との一体感を味わい、その調和に還ることで、自分自身をよく理解できるといわれています。
そのためには、ハーブを植え育てることも奨めています。
ハーブにはそれぞれ特有の効果があり、ハーブに触れることで、人と周囲の環境に調和の癒しの効果が波及するとされています。
樹木や草花などの植物は、固体としてはもちろん、森林や草原など緑の空間を形成し、循環により生態系を支える大切な役割を担っています。
植物は無機環境から光合成により太陽の光エネルギーを貯え有機物を生産し、動物はその有機物を食することで生命を保っています。
動物の世界でも、直接植物を餌にする昆虫や草食動物と、それらを餌にする肉食動物へと有機物が循環していきます。
森林の地表には、落葉やそこに生息する動物の排泄物や死骸などが絶えず供給され、それらを土の中にいるカビやバクテリアなどの微生物が分解し、有機物を元の無機物に返します。
植物は、その栄養分が豊富で柔らかな土を養分として、多様な生物と共存しながら成長します。
その栄養豊富な土が川や海に流れ込むことにより、水のなかでも豊かな生態系が維持されるのです。
環境保全のために欠かせない樹木や植物は、私たちの暮らしを支え、守ってくれています。
土地本来の植生の森は、豊かな自然をたたえ、生態系の宝庫でもあります。
森の樹木は地中に根を張ることで、大地に豊富な水を貯え、清浄な水源となっています。
さらに、水害、地震、火災などの災害から人々を守ります。
緑を増やすには、ただ植林をすれば良いというものではなく、その土地本来の自然植生を見分け、それらの植物を用いて森や草原をつくってこそ、地震や風水害に耐え、人命を守る防災林、水を豊富に貯える水源林としての機能が備わるとされています。
日本の国土の2/3 、面積約2500万haは、森林に覆われており、その森林の約40%は植栽したりして人がつくった人工林です。
その人工林はスギやヒノキなどの生態系を無視した森林が多くを占め、花粉症のような二次災害を引き起こしています。
それに対し、自然の森の生態系はみごとで、土地に合っていて自生できる木が高木から低木、草木まで複雑で合理的なシステムをつくり、伐採や管理をしなくても豊かな森林を形づくり、豊富な水をはじめ自然資源をたたえ、多様な生態系を維持しています。
日本においては、いわゆるドングリと呼ばれる実をつけるカシ、ナラ、シイ、またタブノキなどの樹種がそれにあたります。
実際、震災の後では、昔からの鎮守の森は倒れておらず、大地にしっかりと根を張り、津波にも流出せずに、土地を守っているケースがありました。
屋敷林のおかげで家屋の流出を免れたという事例も報告されています。
その高い機能性から、最近では、都市に鎮守の森が創られ、そのなかに住宅が建設されることもあり、身近な生活の場に積極的に緑の恩恵を取り入れる傾向が高まっています。
森林破壊や地球温暖化が加速する現在、厳しい自然環境に耐え、大災害にも負けない、人々を守り育てる森に将来の可能性を見出し、森を再生することが課題となっています。
人の手で植物を植えて育成する緑化という手法は、現代の環境問題への提案と見られがちですが、古くから世界中で先人の知恵が受け継がれ、建物に植物の恩恵を取り入れる工夫がなされてきました。
屋上庭園を楽しむ文化もあり、草に覆われた土屋根やツタの絡まる壁は断熱材となり、暑さや寒さを防いで、人々はその恩恵を受けてきました。
日本でも古くから、夏には家屋の側面にツル性の植物を植え、緑陰から涼を取り入れるなどの工夫をしていました。
現代において緑化は、都市の中に美しい景観を形成し、潤いと安らぎのある快適な街づくりに大きな役割を果たし、地球温暖化の防止、ヒートアイランド現象の緩和、大気の浄化、雨水の浸透、音を吸収する防音の効果など、都市生活において多様な役割を担っています。
緑化の役割として、直接的には身近な環境の改善効果と、経済的にも大きなメリットがあり、社会的には都市の環境改善に効果を上げています。
身近な環境の改善効果
実質的には、夏季の室温の上昇を抑制し、騒音を低減させ、火災の延焼防止や建物の保護といった防火・防熱効果もあります。
また、生理的心理的には、豊かさや安らぎ感の向上や、身近な情操と環境の教育の場が創出されます。
経済的なメリット
酸性雨や紫外線などによる防水層の劣化防止や建物の膨張と収縮による劣化の軽減などの建物の保護、また、夏季の断熱と冬の保温による省エネルギー化などがあげられます。
さらに、ビルの修景、屋上の活用による宣伝集客効果、未使用スペースの有効活用もできます。
都市環境の改善効果
二酸化炭素や汚染物質の取り込みによる大気の浄化、ヒートアイランド現象の緩和や過剰乾燥の防止などの都市気象の改善と、雨水流出の遅延と緩和などといった、環境に負荷をかけない都市づくりに貢献しています。
また、自然環境の創出による自然との共生や資源の循環をめざしています。
環境保全のために欠かせない樹木や植物ですが、その緑は近年急速に失われつつあり、国連食糧農業機関(FAO)の世界森林資源評価によると、陸地面積の約3割を占める森林は熱帯林を中心として減少しています。
このため、気候変動により砂漠化や乾燥化が進んだ土地や、開発により荒らされた土地に、植物を植えて植生を回復する緑化活動が世界各地で行われています。
日本は特に中国やアフリカなどで砂漠緑化を通じた国際協力に力を入れており、ほかにNPO、NGOをはじめとする民間団体や企業、個人による緑化活動への取り組みも盛んに行なわれています。
環境省の「自然環境保全基礎調査」(緑の国勢調査)によると、日本でも自然林に自然草原を加えた自然植生は2割を切っており、国土面積に占める森林の割合は減少傾向にあるため、緑化の活動が様々な場面で行われています。
山間部などでは「自然環境保全法」に基づいて、開発行為などを厳しく制限し、国有林では保護林に指定して、保護管理を行っています。
このほか、巨樹、巨木林の保護や森林環境教育、里山林の保全や活用、市民との協同による地域の森づくり活動などが各地で行われています。
都市部では「都市公園法」に基づく都市公園の整備や、「都市緑地法」に基づく特別緑地保全地区の指定、自治体による土地の買い入れなどが行われています。
また、工場に緑地が隣接してあるのは、「工場立地法」により敷地面積に対する緑地や環境施設の面積率の基準などを定めているからです。
特に「都市緑地保全法」の改正でできた「都市緑地法」は、2005年6月に施行され、市区町村が緑化地域に指定した区域では、大規模ビル開発などの際に一定割合の緑化を義務づける内容が盛り込まれました。
この都市部における緑化の義務づけにより、ビルや住宅などの屋上や壁面を緑化する ‘ 屋上緑化 ’ と ‘ 壁面緑化
’ が多く活用されるようになりました。
また、生活のなかで身近に緑化を活用できる場として、住宅や学校があります。
個人でも手軽にできる ‘ 緑のカーテン ’ や ‘ 住宅の緑化 ’ 、また、最近は学校の緑化も盛んに行なわれており、 ‘
校庭の芝生化 ’ も話題となっています。
ほかにも、近年、植物を用いて総合的な観点から景観や環境に取り組む、 ‘ ランドスケープ ’ が注目されています。
このような緑化の取り組みは、環境を美化し快適にするとともに、様々な実用効果を上げて、地球環境を改善する対策としての一翼を担っています。
植物の恩恵について、純粋な知識ヴェーダの一部門である ‘ ※ アーユルヴェーダ ’(生命の科学)の根源的な観点から少し掘り下げてみます。
地球上には、鉱物界、植物界、動物界が存在し、それらは互いに育み慈しみ共生することで、存在できる一つの体系であり、人間は、鉱物、植物、動物界を内包しています。
人間は植物の生命エネルギーを原動力としており、人間の神経系は植物の本質をもつ樹木に相当するとされています。
あらゆる形態の存在には、純粋意識があり、植物や鉱物にも、また原子にもあります。
植物に内在する意識は、受動的で純粋性を保っており、自然界の調和を放射しています。
自然界に顕現している全ての存在は、互いに他を育むために存在し、それぞれが生命エネルギーを受け取り他の存在に渡す働きをしています。
このような自然界の働きは目に見えない形でも起こっていますが、物質として捉えているのが、前述した「資源の循環」ということになります。
植物は、光合成を通して太陽の光の慈愛に満ちたエネルギーを生命の力へと変えています。
太陽の光の生命の力を貯え、与えてくれるのが植物であり、私たちにとって自然界との交流の架け橋となっています。
植物は純粋な自然界の恵みを放射し、私たちを含めた環境を養い、健全に維持し、生長させる、という献身をしています。
このように植物の恩恵には、計り知れないものがあり、ヒマラヤハウス® の追究する、「公共性に満ちた美しく豊かな環境づくり」の重要な要素となりえるのです。
ヒマラヤハウス® は、 美しく豊かな環境づくり を追究し、空間ヒーリング® より環境の活性化をめざしています。
これまで述べてきたように、植物には多大な恩恵があり、快適な環境を創造する植物の緑は空間ヒーリングに通じ、ヒマラヤハウスの環境づくりのコンセプトを助け向上させるよう働きかけると考えます。
自然の法則との調和をめざし健全な環境を復活させる、ヴェーダ環境建築学 ‘ ヴァーストゥ ’ では、住宅の庭にアーユルヴェーダの知識を用いたハーブを取り入れるという手法があります。
そして、植物による創造は、環境全体に豊かさを拡げ理を育むので、緑化はやがて公益を生み、ヒマラヤハウスの提言する ‘ 公共性 ’ につながると理解できます。
そして ‘ 緑化 ’ は、ヴェーダの叡智よりヒマラヤハウスの提唱する「 公共性に満ちた美しく豊かな環境づくり 」における必要不可欠な要素( 空間ヒーリング 、 公共性 、 ヴァーストゥ 、 持続可能性 、1/f ゆらぎ )に関係し、私たちの意識を含めた環境を改善する重要な手法のひとつにあげられるのです。
ヒマラヤハウスは、空間ヒーリングのコンセプトを助け向上させる ‘ 緑化 ’ を推奨しています。
無論、植物をエゴ(自我)の拡大のアイテムではなく、私たち自身の純粋性(真我)と一体のものとし共存することが、植物より真の価値を享受されることになります。
環境に調和を放射する植物の恩恵を生活に取り入れ、自然との触れ合いから癒しを楽しみ、自然の法則に沿ったライフスタイルを創造していきましょう。